医療法人行政手続き業務

1.分院開設
分院を開設するためには、医療法人成りしたうえで、医療法人のもとに分院を開設することになります。医療法人の新規設立と違って時期は決められておらず、いつでも開設することができますが、手続きは複雑なので相当な時間がかかることになります(半年くらい)。しっかりとスケジュールを立てて対応することが必要です。

管理者の選任
分院を開設する時に絶対必要なのは、管理者として常勤の勤務医です。管理者は医療法人の理事にならなければなりませんので、社員総会で選任決議をする必要があります。

分院開設の一般的な流れ
① 都道府県に定款の変更認可申請を提出し認可を得ます。
② 認可について法務局で目的変更登記を行います。
③ 登記変更後、保健所に新たな診療所の開設許可申請をして、許可後、診療所開設届を行います。
➃ 診療所開設届を行った後、厚生局にて保健医療機関指定申請を行い、指定後保健医療開始となります。

2.診療所移転
医療法人が診療所を移転するときには、分院開設と同様に複雑な手続きを行わなければなりません。移転のスケジュールをしっかりとたて、計画的に行うことが大切です。

診療所移転の一般的な流れ
① 都道府県に定款の変更認可申請を提出し認可を得ます。
② 認可について法務局で目的変更登記を行います。
③ 登記変更後、保健所に新たな診療所の開設許可申請をして、許可後、旧診療所廃止届および新診療所開設届を行います。
➃ 新診療所開設届を行った後、厚生局にて旧診療所の保健医療機関廃止届および新診療所の指定申請(遡及申請)を行い、遡及指定後保健医療開始となります。

保健医療機関の指定期日の遡及指定に注意
移転先の診療所で継続して診療を開始する場合、移転先が移転前の診療所から原則2キロメートル以内であれば指定期日の遡及ができますので、事前に厚生局に確認しておく必要があります。(移転先の具体的な距離については厚生局と相談して下さい)

3.医療法人設立
医療法人は都道府県知事の認可を受けなければ、設立することができません。

医療法人制度の目的
医療事業の経営主体を法人化する事で
① 資金の集積を容易にし
② 地域医療の永続性を確保する事を目的としています。

医療法人の種類
① 社団医療法人
複数の人(社員)が集まり設立する医療法人であり、設立のため現預金、不動産、備品等を拠出します。
近年、設立される医療法人の多くが、社団医療法人です。
② 財団医療法人
個人または法人が無償で寄付する財産に基づいて設立される医業法人です。

医療法人の業務範囲
医療法人は、法令等及び定款(寄付行為)に規定する業務以外は、収益を伴わないものであっても、一切行うことが出来ません。
定款(寄付行為)に規定することで、病院、診療所、介護老人保健施設及び介護医療院(本来業務)のほか、本来業務に支障のない限り、医療法42条に定める業務(附帯業務)を行うことができます。

医療法人設立の基本的流れ
① 都道府県に医療法人設立認可申請を提出し認可を受けます。(事前準備から1年くらいかかります)
② 設立認可後、法務局で設立登記を行います。
③ 設立登記後、保健所に診療所開設許可申請を行い、許可後、個人の診療所の廃止届と法人での診療所開設届を提出します。
➃ 診療所開設届を行った後、厚生局にて保健医療機関廃止届・指定申請を行い、遡及指定後、保険診療開始となります。

4.医療法人資金調達
病院やクリニックの経営において、院長先生方が設備資金や運転資金の資金調達で悩みを抱えていらっしゃることが意外と多いようです。
病院では、必要最低限の医療機器の購入や、耐用年数を過ぎた設備の更新、24時間働いていらっしゃる先生や看護師さんの給料など運転資金も必要になってきます。色々とお金のかかることが思いのほか多いのでしょう。

それぞれの病院・クリニックのニーズにあわせてた資金調達手段を考え、金融機関をアレンジさせて頂きます。また、金融機関に提出する資料作成や折衝も行います。

医療法人の資金調達方法については大きく次に分類できます。
① 金融機関融資
② 診療報酬ファクタリング(診療報酬担保融資)
③ 資産のリースバック(不動産や医療機器)

金融機関は大きく分けて以下の通りです。
① 政府系金融機関・・・福祉医療機構、日本政策金融公庫(国民生活事業)
② 民間金融機関・・・メガバンク、地方銀行、信用金庫、信用組合
③ ノンバンク・・・銀行以外の貸金業登録を受けた融資専門会社

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