中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」
1.制度の概要
「経営力向上計画」は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画で、認定された事業者は、税制や金融の支援等を受けることができます。
また、計画申請においては、経営革新等支援機関のサポートを受けることが可能です。
2.中小企業等経営強化法に基づく支援措置
(1)税制措置
認定計画に基づき取得した一定の設備に係る法人税等の特例、認定計画に基づき行った事業承継等に係る登録免許税・不動産取得税の特例、認定改革に基づき行った事業承継等に係る準備金の積立(損金算入)の措置をりようすることができます。
(2)金融支援
政策金融機関の融資、民間金融機関の融資に対する信用保証、債務保証等の資金調達に関する支援を受けること ができます。
(3)法的支援
業法上の許認可の継承の特例、組合の発起人数に関する特例、事業譲渡の際の免責的債務引受に関する特例措置を受けることができます。
3.税制措置
(1)中小企業経営強化税制
青色申告書を提出する中小企業者等が、指定期間(平成29年4月1日から令和5年3月31日)内に、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備を新規取得等して指定事業に供した場合、即時償却又は取得価額の10%(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除を選択適用することができます。
(2)事業承継等に係る登録免許税・不動産取得税の特例
中小企業者等が、適用期間(平成30年7月9日から令和4年3月31日)内に中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、合併、会社分割又は事業譲渡を通じて他の中小企業者等から不動産を含む事業用資産等を取得する場合、不動産の権利移転について生じる登録免許税、不動産取得税の軽減を受けることができます。
(3)中小企業事業再編投資損失準備金
中小企業者が、適用期間(令和3年8月2日から令和6年3月31日)内に事業承継等事前調査に関する事項が記載された経営力向上計画の認定を受けた場合、当該計画に基づき株式等を取得し、かつ、これを事業年度末まで引き続き有している場合において、株式等の取得価額として計上する金額の一定割合の金額を準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額はその事業年度において損金算入できます。
積み立てた準備金は、帳簿価額の減損等の取崩要件に該当する行為を行った場合は、取り崩して益金に参入され、5年経過後は、その後の5年間にかけて均等額で準備金を取り崩し、益金に参入されます。
4.金融支援
(1)日本政策金融公庫による融資
経営力向上計画の認定を受けた事業者が行う設備投資に必要な資金について、融資を受けることができます。
「貸付限度額」中小企業事業・・・7億2000万円(うち運転資金2億5000万円)
国民生活事業・・・7200万円(うち運転資金4800万円)
「貸付期間」 設備資金20年以内、長期運転資金7年以内(据置期間2年以内)
(2)中小企業信用保険法の特例
特例事業者は、経営力向上計画の実行(※)にあたり、民間金融機関から融資を受ける際、信用保証協会による信用保証のうち、普通保険等とは別枠での追加保証や保証枠の拡大が受けられます。
(※)新商品・新サービスなど「自社にとって新しい取組」(新事業活動)及びⅯ&A等による事業承継(デューデリジェンスを含む)に限ります。
保証限度額 | 通常枠 | 別枠 |
普通保険 | 2億円(組合4億円) | 2億円(組合4億円) |
無担保保険 | 8,000万円 | 8,000万円 |
特別小口保険 | 2,000万円 | 2,000万円 |
新事業開拓保険 | 2億円→3億円(保証枠の拡大) | |
海外投資関係保険 | 2億円→3億円(保証枠の拡大) |
(3)中小企業投資育成株式会社の特例
経営力向上計画の認定を受けた場合、通常の投資対象(資本金3億円以下の株式会社)に加えて、資本金額が3億円を超える株式会社(特定事業者)も中小企業投資育成株式会社からの投資を受けることが可能になります。
(4)日本政策金融公庫(中小企業事業)によるスタンドバイ・クレジット
経営力向上計画の認定を受けた特定事業者(国内親会社)の海外子会社又は海外子会社が、日本公庫の提携する海外金融機関から現地通貨建ての融資を受ける場合に、日本公庫が信用状を発行し、海外での円滑な資金調達を支援します。
「保証限度額」1法人当たり最大4億5000万円
「融資期間} 1年~5年
(5)日本政策金融公庫(中小企業事業)によるクロスボーダーローン
経営力向上計画の認定を受けた特定事業者(国内親会社)の海外子会社は、経営力向上計画等の実施に必要な設備資金および運転資金について、直接融資を受ける事ができます。
(6)中小企業基盤整備機構による債務保証
従業員2千人以下の特定事業者等(特定事業者は含まれません)が、経営力向上計画を実施するために必要な資金について、保証額最大25億円(保証割合50%、最大50億円の借入に対応)の債務保証を受けられます。
(7)食品等流通合理化促進機構による債務保証
食品製造業者等は、経営力向上計画の実行にあたり、民間金融機関から融資を受ける際に信用保証を使えない場合や巨額の資金調達が必要になる場合に、食品等流通合理化促進機構による債務の保証を受けられます。
【特定事業者の定義】
従業員数
製造業その他 500人以下
卸売業 400人以下
小売業・サービス業 300人以下
政令指定業種 500人以下
ソフトウエア・情報処理サービス業・旅館業 500人以下
中小企業・零細企業の皆様が、設備投資や会社再編、新規事業を行うタイミングを見て、この経営力向上計画の認定を受けて、色々なメリットを享受してみてはいかがですか?
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