日本におけるベンチャー企業の葛藤

 日本においてベンチャー企業は育ちにくいのでしょうか?新しい技術がある、新しいアイデアがある、それを使って世の中をもっと便利で心地よいものにしようとすることが、ベンチャービジネスに繋がっていくのです。その始まりは純粋で、熱く燃え、将来への希望に満ち溢れているのかもしれません。しかし、その新しい技術や新しいアイデアをどのように具体的にお金に換えていくのかが大きな問題です。

 新技術や特許発明によるベンチャー企業には、越えなければならない3つの関門があると言われています。「魔の川」「死の谷」「ダーウィンの海」と呼ばれるものです。「魔の川」とは、研究から製品に開発されるまでの大きな川が横たわっているということです。研究段階ではすごい発明でも、それを製品にするのが非常に困難であるということです。

 「死の谷」とは、製品開発からそれを事業化する間の深い谷があるということです。事業化には、それに必要な機械や人材、販売網などが必要ですし、多額の資金を投下しなければなりません。

 そして、「ダーウィンの海」は、事業化したのちに安定収益化するまでの広大な海を意味しています。事業が立ち上がっても、そこからマーケットという大海原に向かって大航海をしなければならない、船が遭難することも多々あるということです。

 このように起業をしようとすると大きな困難が立ちはだかっているのです。これに打ち勝っていかなければ未来はないのです。そして、そのいずれの困難にも資金というものが必要になるのです。しかし、日本のベンチャー企業は、その資金を集めが非常に難しいという状況なのです。アメリカのようにエンジェルがいるわけではなく、ベンチャーキャピタルもスタートアップの会社には投資しません。むろん銀行は融資など絶対にするわけがないのです。

 唯一、日本政策公庫国民生活事業が創業融資を行っており、また信用保証協会にも創業保証があります。しかし、この融資・保証にしても金額はたいしたものではなく、すぐに枯渇するでしょう。では、日本に新しい企業や産業は生まれてくるのでしょうか?このように資金調達が非常に困難であるなかでは、お金が掛らない会社しか創業することができないということになってしまいます。

 こんなことでは、アメリカや中国にどんどん差をつけられてしまいますね。どうか資本家の方、日本の新しい芽に、是非とも必要な水を注いてやって欲しいと思います。そして、水を注いでやろうという事業を創っていくベンチャースピリットあふれる人材がどんどん日本に増えていくことを願っています。

銀行とノンバンク

銀行とノンバンクについて考えてみました。

 銀行とノンバンクについて考えてみます。私は学校を卒業して20年間大手都市銀行で勤務していました。そして後に不動産担保ローン会社の立ち上げに関わり、いわゆるノンバンクで4年半勤務しました。銀行とノンバンクの両方に勤務した経験のある人間はそんなにいないかもしれません。その業務の違いや社会的役割の違いについて、自分の経験を踏まえてお話ししたいと思います。

 銀行もノンバンクも金融庁管轄の会社です。しかし、その根拠となる法律については、銀行は「銀行法」であり、ノンバンクは「貸金業法」であります。銀行とノンバンクで大きな違いは、銀行には預金者がいて、この預金者の方からお預かりした預金をベースの原資として貸出を行っているのです。一方、ノンバンクは預金を集めることができませんので、貸出金の原資は、自己資金か金融機関からの借入ということになります。そこが、銀行とノンバンクの性質が大きく異なるところです。

 銀行は、預金者の大切なお金を預かっており、貸し倒れが許されないため融資の審査が厳しいと言われています。一方これは、他人のお金なので融資にモラルハザードを起こしてしまう可能性があることに対する戒めであると理解しています。実際、バブル時の銀行は融資競争を繰り広げ、事業についてはほとんど無審査で、不動産や株の担保があれば何でも貸付け、バブル崩壊後不良債権の山を築いてしまいました。私は、バブルのころ銀行員だったので、バブル真っ只中、そしてバブル崩壊後の銀行について、しっかりと経験させてもらいました。

 バブル崩壊後、不動産価格はどんどん下落していきました。買い手がいないので値段が付かないという状況でした。銀行も不動産に対しては全く融資しませんでした。銀行は担保があれば何でも融資するという姿勢から180度転換し、会社本来の力をしっかり審査して融資するという方向になりました。私はその時期、まだ30代前半でしたが、企業の現在の財務内容を把握し、経営者の能力や経営姿勢、その会社の従業員のやる気、商品やサービスの成長性などを自分なりに判断して融資する基礎を学びました。銀行に入って初めて、銀行の融資というものがどういうことなのかを知ることができたと思います。そして、この「人」、「モノ」をしっかり把握して行う融資こそ、経済に血液を循環させ、日本経済を成長させていくという、銀行の本来的な仕事であると思います。これこそが、銀行員の仕事の醍醐味であると思います。むかし、住友銀行西野田支店長が、松下幸之助の二股ソケットに融資していなかったら、今日の世界のパナソニックはなかったかもしれません。そんなロマンあふれた仕事を銀行員は行っているのです。銀行は、もう一度その仕事の面白さを行員たちに伝えて行かなければならないと心の底から思っています。これが銀行の仕事です。

 さあ、続いてノンバンクについてです。銀行もノンバンクもお金を貸す仕事だから同じ仕事だろうと思われる方は多いと思います。しかし、本質は似て非なるものです。本質的な違いは、一言で言うと、「銀行は貸し倒れしない顧客に融資する。」「ノンバンクは貸し倒れを前提として融資する。」ということでしょうか。まず、融資を受けようとするお客様は、銀行でお金を借りようとしますが、何らかの事情で、銀行で借りられない方がノンバンクで借入します。よってノンバンクは、銀行が「貸し倒れする可能性が高い」と判断したお客様が来社する可能性が高いということになります。これは、そういうことだと思います。 
 しかし、ノンバンクを利用するもう一つの大きな理由は、「銀行では審査のスピードが遅い。」ということです。ノンバンクの場合は、審査から融資までのスピードが速く、タイムリーにお金が必要な方であれば、とりあえずノンバンクで借りておこうという行動をとると思います。よって、貸し倒れする可能性は低いが、ノンバンクで借入することもあるということです。しかし、このようなケースはそんなに多くないでしょう。基本は、銀行で与信能力が低いと判断された方がノンバンクを利用するということになります。ノンバンクは、貸し倒れ前提として融資しているのです。だから、融資金利が高いのです。貸し倒れを見込んで融資するので高い金利を取らないと商売が成り立たないのです。

 2006年に貸金業法は大幅に改正されました。その最も大きな改正点は、総量規制という貸出金額に制限を課したものです。消費者に融資するときは、年収の3分の1を超えることができないというものです(他社の貸付金額も含めて)。これは、改正以前に多額の借入をした個人が、自己破産するものが多く出たことによる反省で、過剰貸し付けを戒めるという趣旨からできた条項です。そしてまた、債務者の返済能力についても、貸金業者はしっかりと調査する必要があるということにもなりました。これは法人向けの貸し出しについても同様です。これを機に与信審査は、ノンバンクといえども銀行に近い審査を行う必要が出てきたのです。また、それとほぼ同時に利息制限法も改正となり、上限金利が引き下げられ、100万円以上であれば15%が上限となってしまいました。(それまでは、出資法の29.2%が上限でした)

 この貸金業法の改正の結果、それまであった貸金業者は廃業するところが多出し、また新たに貸金業を始めようとする人間も少なくなり貸金業者の数はどんどん減少していきました。そのような中でも、古くからやっている不動産担保ローンの会社は残っていますし、また新たに不動産担保ローン会社が起業しています。不動産担保ローンは、不動産を担保に取っていますので比較的貸し倒れが少なく、利息制限法の上限金利制限に対応できたものと思われます。また、最近では、フィンテック会社が、その会社の持つビッグデータを用いて、運転資金を貸付するところもでてきました。これまでなかった新たな貸金業者の登場です。このように時代は移り変わり、またいろいろな知恵を絞り新たなビジネスチャンスを求めて、ハイブリットな貸金業者が出てくることを是非期待しています。

 さて、最後になりますが、銀行とノンバンクについてのまとめです。私は、銀行でもノンバンクでも仕事した経験がありますので言えると思いますが、両方の金融機関が、その長所を伸ばしてどんどんこの停滞した世界に新たな血液を流し込んでいって欲しいと思います。そして、資金需要者も銀行、ノンバンクの良いところを使い分けて利用すれば良いと思います。銀行は銀行業界の中で競争していますし、ノンバンクはノンバンク業界の中で競争しています。その競争のなかで、資金需要者にとってより便利でお得なところが競争に打ち勝っていくと思います。また、資金需要者は、うまく自分に合った銀行とノンバンクを利用すれば良いのではないでしょうか。

 私は、現在「融資・資金繰り専門行政書士」として仕事していますが、お客様のために、銀行・ノンバンクを上手に選択し、お客様の夢をかなえるためにスムーズな資金調達を成功させて行きたいと思っています。それを一つ一つすることによって、関西の経済が、日本の経済が元気を取り戻し、成長することに繋がっていくと信じています。
 

 資金繰りや資金調達でお悩みの方は、是非一度、当事務所にご連絡下さい。お待ちしております。

融資・銀行についてのBLOG始めます。No.2

「融資・資金繰り専門行政書士」になるまでの経緯 第2回

 前回は、私が銀行を退職しコンサルタント・行政書士として働いて10年ほど経った時までのことを書きました。今回は、その後から今日までのことをお話し致します。どうぞお付き合いのほどよろしくお願いします。
 私がコンサルタント・行政書士として10年ほど経った時、銀行員時代に新規先として融資させて頂いた社長から新しい事業をやりたいので、その事業をお願いしたいとの話がありました。その企業は株式公開を果たし新たな分野への進出を模索していました。その事業とは、不動産担保ローン事業でした。貸金業への進出ということです。貸金業の登録をするためには、その人的要件のひとつとして役員に経験者が必要です。私は銀行員であったのでその人的要件を満たしていました。その上場企業の子会社として貸金業の登録を行い、私が子会社の社長として会社を作っていって欲しいということでした。私は、これも何かの縁だし、また組織を一から作るということが魅力的に見えたこともあり、面白そうだからいっちょやってみようと思いました。
 しかし、実際に実務をやり始めると「これはどうなるのやら?」と途方に暮れました。この子会社のスタートは私を含めて3名でした。まず、何もないということに気が付きました。銀行では、仕事をする上では既にあったものが何もないのです。金銭消費貸借約定書もないのです。システムもないのです。手で利息計算するのか?しかし、やらなけれがなりません。金消契約書は私が作成しました。行政書士をやっていましたので契約書作成くらいはやっていましたが、金融機関の金消契約書まで作成したことはありませんでした。システムも色々なシステム会社に打診しましたが、金融システムをパッケージで作っている会社が中々なくオーダーメイドになるとのことでした。そうすると金額が1億円ほどかかるということで、全く稼ぎがなく海のものとも山のものとも分からない事業に1億円の設備投資はかけられませんので本当に頭を抱えました。しかし、探すと1社だけ消費者金融専門のシステム会社がありました。そこにパッケージソフトがあり、そのシステムを採用することになりました。本当に良かったと心の底から思いました。このシステムがなければ貸金業をスタートすることは不可能であったからです。
 このようにして、手探りながら4年半前に3名でスタートした会社は、大阪本社、東京にも支店を構え、社員も60名を超える会社になりました。不動産担保ローンの残高も順調に伸び、100億円程度の残高になりました。そして、高齢者のための借入の手段であるリバースモーゲージの保証業務を銀行と提携することによって開始し、現在提携金融機関は12社となっています。ここで、一定の事業そして組織が形作られ、若くパワフルな後継者も育ったことから、私はこの会社の第一線から退くことにしました。その大きな理由は、この不動産担保ローンおよびリバースモーゲージ保証業務は不動産をベースにして全て考えられています。私としては、60歳もまじかに見える年齢になった今、もう一度、事業や経営者をしっかりと把握し、目利きして、新しい事業、若い企業を支援していく仕事をして、関西の経済を発展させることに微力ながら役に立ちたいと思うようになったのです。
 私は、この4年半でいろいろなことを学びました。貸金業のことについて、不動産評価について、組織の規定やマニュアルについて、人事について、ガバナンスについて、マネージメントについてほか切りがありません。そして私は、この貴重な学びの経験を与えて下さった社長には本当に心から感謝しております。この貴重な経験を存分にこれからの仕事に活かして、関西のそして日本の中小ベンチャー企業の成長を支えていこうと思っております。日本は新しい産業がアメリカほど育っていないように思えます。そもそも起業しようと思う人が少ないのです。廃業数が起業数より多くなっており、日本の会社数はどんどん減少しています。そういう中でも、ITを駆使したフィンテック会社やアプリ開発会社、ネット企業やバイオ会社が出てきています。若い経営者、場合によっては学生ベンチャーが実際ここ数年では増えてきているのではないでしょうか。新しい発想とアイデアそしてIT技術やバイオ技術を使ってチャレンジする人が益々増えていって欲しいと思います。それがなければ、日本経済はじり貧になっていくと思います。そして、金融機関は、その新しい技術やアイデアを前向きに理解して欲しいと思います。私は、この新しい技術・アイデアを持った企業と金融機関の間の橋渡しの役目を果たして行こうと思っています。また、これら若い会社の財務面や法務面からのサポートが絶対に必要であると思っています。
 以上が私がこの仕事をはじめた経緯と、私のこの仕事にかける心意気であります。これから起業して事業を始めようとしている方、新しいアイデア・技術で事業を始めたけど資金調達が分からない、金融機関が理解してくれない悩みがある方、今の事業はじり貧だが新たに事業を立ち上げようとしている方、等々資金調達や資金繰りにお悩みになっている経営者の皆様、是非一度私にご連絡下さい。誠意をもって一生懸命にサポートさせて頂きます。どうぞ宜しくお願い申し上げます。