銀行とノンバンク

銀行とノンバンクについて考えてみました。

 銀行とノンバンクについて考えてみます。私は学校を卒業して20年間大手都市銀行で勤務していました。そして後に不動産担保ローン会社の立ち上げに関わり、いわゆるノンバンクで4年半勤務しました。銀行とノンバンクの両方に勤務した経験のある人間はそんなにいないかもしれません。その業務の違いや社会的役割の違いについて、自分の経験を踏まえてお話ししたいと思います。

 銀行もノンバンクも金融庁管轄の会社です。しかし、その根拠となる法律については、銀行は「銀行法」であり、ノンバンクは「貸金業法」であります。銀行とノンバンクで大きな違いは、銀行には預金者がいて、この預金者の方からお預かりした預金をベースの原資として貸出を行っているのです。一方、ノンバンクは預金を集めることができませんので、貸出金の原資は、自己資金か金融機関からの借入ということになります。そこが、銀行とノンバンクの性質が大きく異なるところです。

 銀行は、預金者の大切なお金を預かっており、貸し倒れが許されないため融資の審査が厳しいと言われています。一方これは、他人のお金なので融資にモラルハザードを起こしてしまう可能性があることに対する戒めであると理解しています。実際、バブル時の銀行は融資競争を繰り広げ、事業についてはほとんど無審査で、不動産や株の担保があれば何でも貸付け、バブル崩壊後不良債権の山を築いてしまいました。私は、バブルのころ銀行員だったので、バブル真っ只中、そしてバブル崩壊後の銀行について、しっかりと経験させてもらいました。

 バブル崩壊後、不動産価格はどんどん下落していきました。買い手がいないので値段が付かないという状況でした。銀行も不動産に対しては全く融資しませんでした。銀行は担保があれば何でも融資するという姿勢から180度転換し、会社本来の力をしっかり審査して融資するという方向になりました。私はその時期、まだ30代前半でしたが、企業の現在の財務内容を把握し、経営者の能力や経営姿勢、その会社の従業員のやる気、商品やサービスの成長性などを自分なりに判断して融資する基礎を学びました。銀行に入って初めて、銀行の融資というものがどういうことなのかを知ることができたと思います。そして、この「人」、「モノ」をしっかり把握して行う融資こそ、経済に血液を循環させ、日本経済を成長させていくという、銀行の本来的な仕事であると思います。これこそが、銀行員の仕事の醍醐味であると思います。むかし、住友銀行西野田支店長が、松下幸之助の二股ソケットに融資していなかったら、今日の世界のパナソニックはなかったかもしれません。そんなロマンあふれた仕事を銀行員は行っているのです。銀行は、もう一度その仕事の面白さを行員たちに伝えて行かなければならないと心の底から思っています。これが銀行の仕事です。

 さあ、続いてノンバンクについてです。銀行もノンバンクもお金を貸す仕事だから同じ仕事だろうと思われる方は多いと思います。しかし、本質は似て非なるものです。本質的な違いは、一言で言うと、「銀行は貸し倒れしない顧客に融資する。」「ノンバンクは貸し倒れを前提として融資する。」ということでしょうか。まず、融資を受けようとするお客様は、銀行でお金を借りようとしますが、何らかの事情で、銀行で借りられない方がノンバンクで借入します。よってノンバンクは、銀行が「貸し倒れする可能性が高い」と判断したお客様が来社する可能性が高いということになります。これは、そういうことだと思います。 
 しかし、ノンバンクを利用するもう一つの大きな理由は、「銀行では審査のスピードが遅い。」ということです。ノンバンクの場合は、審査から融資までのスピードが速く、タイムリーにお金が必要な方であれば、とりあえずノンバンクで借りておこうという行動をとると思います。よって、貸し倒れする可能性は低いが、ノンバンクで借入することもあるということです。しかし、このようなケースはそんなに多くないでしょう。基本は、銀行で与信能力が低いと判断された方がノンバンクを利用するということになります。ノンバンクは、貸し倒れ前提として融資しているのです。だから、融資金利が高いのです。貸し倒れを見込んで融資するので高い金利を取らないと商売が成り立たないのです。

 2006年に貸金業法は大幅に改正されました。その最も大きな改正点は、総量規制という貸出金額に制限を課したものです。消費者に融資するときは、年収の3分の1を超えることができないというものです(他社の貸付金額も含めて)。これは、改正以前に多額の借入をした個人が、自己破産するものが多く出たことによる反省で、過剰貸し付けを戒めるという趣旨からできた条項です。そしてまた、債務者の返済能力についても、貸金業者はしっかりと調査する必要があるということにもなりました。これは法人向けの貸し出しについても同様です。これを機に与信審査は、ノンバンクといえども銀行に近い審査を行う必要が出てきたのです。また、それとほぼ同時に利息制限法も改正となり、上限金利が引き下げられ、100万円以上であれば15%が上限となってしまいました。(それまでは、出資法の29.2%が上限でした)

 この貸金業法の改正の結果、それまであった貸金業者は廃業するところが多出し、また新たに貸金業を始めようとする人間も少なくなり貸金業者の数はどんどん減少していきました。そのような中でも、古くからやっている不動産担保ローンの会社は残っていますし、また新たに不動産担保ローン会社が起業しています。不動産担保ローンは、不動産を担保に取っていますので比較的貸し倒れが少なく、利息制限法の上限金利制限に対応できたものと思われます。また、最近では、フィンテック会社が、その会社の持つビッグデータを用いて、運転資金を貸付するところもでてきました。これまでなかった新たな貸金業者の登場です。このように時代は移り変わり、またいろいろな知恵を絞り新たなビジネスチャンスを求めて、ハイブリットな貸金業者が出てくることを是非期待しています。

 さて、最後になりますが、銀行とノンバンクについてのまとめです。私は、銀行でもノンバンクでも仕事した経験がありますので言えると思いますが、両方の金融機関が、その長所を伸ばしてどんどんこの停滞した世界に新たな血液を流し込んでいって欲しいと思います。そして、資金需要者も銀行、ノンバンクの良いところを使い分けて利用すれば良いと思います。銀行は銀行業界の中で競争していますし、ノンバンクはノンバンク業界の中で競争しています。その競争のなかで、資金需要者にとってより便利でお得なところが競争に打ち勝っていくと思います。また、資金需要者は、うまく自分に合った銀行とノンバンクを利用すれば良いのではないでしょうか。

 私は、現在「融資・資金繰り専門行政書士」として仕事していますが、お客様のために、銀行・ノンバンクを上手に選択し、お客様の夢をかなえるためにスムーズな資金調達を成功させて行きたいと思っています。それを一つ一つすることによって、関西の経済が、日本の経済が元気を取り戻し、成長することに繋がっていくと信じています。
 

 資金繰りや資金調達でお悩みの方は、是非一度、当事務所にご連絡下さい。お待ちしております。